【教材検討】根本美作子「近さと遠さと新型コロナウイルス」(2021年7月例会)

2021年08月09日(月)|by カプス管理2
 提案教材は、根本美作子「近さと遠さと新型コロナウイルス」(村上陽一郎編『コロナ後の世界を生きる』岩波新書 所収)。

 この文章は「わたしにとってかけがえのない人であった父は、死ぬことによって、父もまた一人の人にすぎな かったということを教えてくれた。」という父の死についての回想から始まる。コロナ禍によってつきつけられた 「自分も一人の人にすぎない」という原則と、人類という共同体の輪郭。さらにヨーロッパとアジアの地政学的な違い。 フランス文学者によるやや抽象的な文体だが、コロナ禍によって明らかになった、「たった一人の人間」としての脆弱さと、国境を超えたつながりを改めて考えさせる文章である。

 何より、コロナ禍によって大きく変わった、あるいはコロナ禍によって露見した、いまの社会・世界を高校生が考えることは必要不可欠であり、そのためにはどんな文章を読ませたいのか、という視点を持ち続けたい。

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