街にある「注意看板」「メッセージポスター」などに潜む、考えると何かおかしな前提条件を鋭い切り口で論破していく。表現者としてのもののとらえ方・見方が非常に刺激的。
例えば、銀行の入り口で「特別警戒中」という文言の看板や張り紙を見たことはないだろうか?文字通り理解すれば、銀行が何かの業務妨害等から身を守るために日常以上の特別な警戒をしているということになる。また、この「特別警戒中」は365日続いていないだろうか?はたして、この「特別警戒」は何から身を守る「特別な」警戒なのだろうか?
こんな例もある。「警戒監視中」と張り紙のある公衆観光案内所。誰が誰を監視しているのか?単なる観光目的で訪れたのに監視されているというのは不気味なことではないか?
この本を読み進めていくと、普段あまり注意を払っていなかった街角の文言が気になること間違いなし。社会をこんな風に観察すると、色々な不思議を感じるだろう。
堤未果『社会の真実の見つけかた』岩波ジュニア新書
アメリカにおける政治、経済、教育の現状についてのメディアからの情報を事例として取り上げ、どのようにとらえるかという視点で紹介している。隠される真実、表面的な目的の裏にある本当の目的など、どのようにメディアの情報を整理し、また自らが考えて情報をとらえていくかを考えさせてくれる本。
昨今は特に生命に関わるレベルの情報でさえも、不正確な情報があふれている。新聞で、テレビで、ネットで書かれたり言われていることが、本当に正しいのか?疑い始めると寒々とするが、自分自身が情報発信する立場に立った時に、こうあってはならないと考えさせられる内容でもある。
日常にあふれかえっている情報への疑心暗鬼で止まらず、主体的な情報リテラシーを身に着ける必要性を強く感じて、その意識を持つことがないより大事だと感じさせてくれる。