カプス会員が薦める本

2011年11月08日(火)|by HP管理
☆村上春樹『沈黙』(『レキシントンの幽霊』 文春文庫)

ボクシングジムに通う青年が、中高一貫の進学校で過ごした日々を回想する。青木という勉強もでき、周りの同級生からも人望のある同級生から、彼は敵対心を持たれてしまう。そして、ある日殴ってしまい…。

計 算高く要領よく生きることに違和感を感じる人はぜひ一読を。「ある種の人間には深みというものが決定的に欠如しているのです。…僕が言いたいのは、その深 みというものの存在を理解する能力があるかないかということです。でも彼らにはそれさえもないのです。それは空しい平板な人生です。」

ある教室で集団読書として読ませたら、半数以上が読んでよかったと答えたという。生きることについて、ちょっとだけ深く考えられたらと思う。



☆宮本輝『星々の悲しみ』(文春文庫)

夭折の画家が描いた「星々の悲しみ」(大きな木の下で男の子が 眠っている)という題の絵を喫茶店の壁から、いたずらで盗み出す浪人生たちの物語。「死」も一つのテーマにしながらも、重さはなく、透明感のある爽やかな感じが漂い、やさしい余韻が静かに残る作品です。主人公や友人たちの人物像がうまく描写出来ていて、劇的な事件や出来事はそれほどないのに、なぜか引き込 まれていきます。表紙のスケッチも佐藤忠良が描いていてファンも多い。昔は、教科書や模試にも使われました。

喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋ー。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きること...
販売価格: 660 円 ( 更新)
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☆関口尚『水の中から見た月』(『そのままの光』光文社)

高校で野球部に入った僕は3年生のしごきに耐える日々だった。そして夏あけに、中学では有名だったピッチャー香取が入部してくる。その二人がさまざまなことを通して友情を深めていく物語。

好評につき売切れです


☆吉田修一『Water』(『最後の息子』文春文庫)

長崎の高校水泳部員たちをさわやかに描いた小説。主人公の凌雲は高校水泳部のキャプテン。登場人物が、それぞれに自分の心 に何かを背負って生きてい る。しかし、それを隠しながら物語は高校最後の県大会へと向かっていく。「…とにかく今日が最後だ。キャプテン最後の日であり、水泳部最後の日だ。ボクが 全力でやってきたことが大切なことだったのか、それともそうじゃなかったのかは、たぶん、今日泳ぎ終わったときにはっきりするような気がする。そして、一 年後、五年後、そして十年後に、今日のことがどれほど大切なことだったのか、分かるような気がする。たぶん、これからのボクの人生は、何を持って行くかで 決まるのだと思う。」物語のラストは4×100mメドレーリレーのシーン。結果は?読んでのお楽しみ。できれば、最後の総体の前に読んでみてください。

新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文...
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