教材としての価値(2020年6月例会)

2020年08月10日(月)|by カプス管理2
コロナウイルス感染拡大防止のため、5月に続いてオンラインでの開催となった。

実践予定の教材についての、教材的価値、教材とし ての扱い方・問題点、複数テキストに適した文章等について、ア イデアを出し合った。

対象は高校1年生国語総合(現代文)。コロナで年間計画が見通せないが、2学期以降に取り上げたいと考えている。

《吉田秀和『ヘンデルと力士』について》
・普遍と個の往還が面白いと感じている。
・「アイネ・クライネ~」など音楽の素養がない生徒にとっては、何のことかわからないのではないか。
・曲を、教材を読む前に聞かせるのか、後で聞かせるのか?
・YouTube など、自分の興味があるジャンルしか見ないという生徒に、どうやって迫らせていくのか?
・社会的共有知、教養が失われて久しい現在だが、現代文の文章を通して、世界を広げてほしい

《多木浩二『消費されるスポーツ』について》
・テニスの「タイブレーク」など、メディアによって、面白くなるからスポーツのルールが変わる、という指摘が面白い。自分がやっている身近なスポーツが、消費の対象になっている、ということを考えさせたい。

○「消費」を考えるために
・『生き方GET Vol.4』より「巨額を稼ぎ出すハローキティの生態」を読ませる。
・まずは、消費に関するイメージを生徒が持てるように、生徒の生活実感のなかから引き出すようにしたい。
・「消費される」というタイトルが、「消費」に否定的な印象をもたせるが、現在において、もはや「消費」は否定的なものとして捉えられるのではなく、われわれは消費とともに生活している。

○身体論を考えるために
・・鷲田清一『普通を誰も教えてくれない』(東大過去問1999より)
・特に受験生であれば、現代文頻出テーマの身体論を合わせて教えたい。

○オリンピックとナショナリズムを考えるために
・阿部潔『スポーツとナショナリズム』、加藤周一『オリンコーラ万歳』(『JIN式入試現代評論の技法』より)
・スポーツとナショナリズム、時事的な東京オリンピックの問題を批判的に考えさせたい。

○現代のメディアとスポーツを考えるために
・・インターネットメディアとスポーツの関係を調べて考える。
・原文は1995年出版で、「テレビ」で終わっており、メディアの捉え方に古さがある(生徒はテレビを見ない)。
・歴史という観点から、インターネットの発達した現代、あなた達はどう捉える?というような、自分たちが具体例 をあげてみる発展的な課題を与える。

○会員からの意見
・スポーツイベントと置き換えていけば時代性の問題はクリア。
・「する、見る、支えるスポーツ」という、社会体育から社会スポーツへの流れを理解して授業をしたい。
・「eスポーツ」はヒントになる。(NHK『逆転人生』2020.6.8)
・スポーツと「消費(+メディア)」を中心に、これからどうあるべきかを考えさせて、書かせていきたい。

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