いじめとか不登校とか、学校からなくなった方が良い。それが理想だし、教師はそれを追求しないといけない。けれど、実際に、いじめはどこの現場でもいつでも起こりえるし、不登校の生徒は一定数発生してしまう。
教師は、いじめている生徒やいじめられている生徒、不登校の生徒にどれだけ共感できるだろうか。
ほとんどの教師が優秀な学生として過ごしてきただろうから、悪いことをしたり、つまずいたりする経験に乏しい。だから、そういう生徒の気持ちがなかなか理解できない。
東大とか京大を卒業した教師が、教科指導で優秀かというと、そうでないことも少なからずある。「わからない」と思っている生徒に対して、どこがわからないのか、わからないのだ。自分は学生時代につまずかなかったから。
この『ヒーロー!』という話で、主人公は大仏のマスクをかぶって休み時間にショーをする。目的は、自分が注目されれば、休み時間にいじめているヒマがなくなるだろう、という発想。なんとも奇抜だが、それがうまく進む。もちろん、順風満帆ではなく妨害もある。
「正義」とはなんなのか、「理想」とはどうすれば求められるのか、教師も生徒も読めば考えさせられる一冊。
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