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2020年08月17日(月)|by ホームページ管理
2020年08月17日(月)|by ホームページ管理
2020年08月10日(月)|by カプス管理2
前回に引き続き、実践予定教材、多木浩二『消費されるスポーツ』に関連して、複数教材の検討をした。
事前に、4人から教材案が提出された。
雑誌記事『現代スポーツ評論』
「スポーツを消費すること」について別の視点で考えることができる題材にならないか、という観点で選んだもの。スポーツにおける寛容さや偶然性を論じている。
新聞記事『朝日新聞』、雑誌記事『Number』、ツイッター(大迫傑選手)など
「スポーツの消費者/被消費者の関係から、生産者/愛好者/支援者の関係へ」をテーマに、新聞記事、ツイッタ ー等の文章を読ませる。甲子園の問題など、生徒にとって身近なテーマの題材や、ソーシャルメディアを利用した新しいスポーツのあり方を紹介したものも。
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』、若林幹夫『「誰か」の欲望を模倣する』、橋本努『ロスト近代』
「消費」を理解するための文章。消費の構造や、欲望の構造を知ることで、本文の読解の助けとし、さらに消費 社会以降の現代を考えるための視座に。
森博嗣『お金の減らし方』
本文に即した「スポーツとメディアの結びつき」のほか、「消費と生産」、消費と結びついてるもの、自分とお金との理想の関係などについて、グループで考える。
《会員からの意見》
・「理解する」レベルの読解力はある生徒。それを生活実感・感覚として落とし込めるようにしたい、
・現代文の授業では、むしろ生活とは異なる知のあり方に違和感を覚えてほしい(それが教養、知への入り口)。
・効率を求める気持ちが強い受験生。その現状の中で自分が面白いと思う文章を与えることだけで、果たして生徒が変容するのかと思う(何かの仕掛けがいるのではないか)。
・高校生は「あたまでっかち」で実感を伴わなくても「わくわく」するような体験をしてほしい。
・集団で同じ場で学んでいるからこそ、学びが促されるのではないか。
松井仁(当研究会代表世話人)より
・生徒に変化を促す。定義付けをしっかりして、知の背景を教えることが大事。現代文はこんなにおもしろいんだ、ということを示さないといけない。
・常識にどっぷりつかっている生徒から、常識論、通俗的道徳を、1枚1枚剥がしていき、戦っていくのが高校の現代文。そうすると生徒が「え! そうなんや!」という意外性に出会う。それが学びへの楽しさへ。
・やさしい教材で、価値観を揺るがす。授業では教師の人生観、世界観が出る。希望を埋め込んでほしい。
○参考図書
・加藤周一「オリンコーラ」
・多木浩二『スポーツを考える』
・三浦雅士『考える身体』『身体の零度』
・橋本努『自由に生きるとはどういうことか』
2020年08月10日(月)|by カプス管理2
今回もオンラインでの開催となった。
当研究会代表世話人の松井仁よりの熱いメッセージ。
(1)黒人差別問題についてー“Black Lives Matter”をどう訳すか?―
「黒人の命は」か、「黒人の命も」か、「黒人の命こそ」か。メディアは「も」を使っているが、それではぼやけてしまう。ある人が「黒人の命を軽く見るな」と訳していたが、もっといい訳があるかもしれない。黒人問題の歴史的背景も含めて、助詞一つで現代文と古文を教えることができる。これを材料にしながら授業ができないだろうか。
(2)教師教育論
コロナ禍での教育論は、授業時間の確保、行事の削減、今まで通りのオンライン授業など、ずれていないだろうか。もう一度立ち止まって考えてみる必要がある。
学校で教える本質は何か。その本質を教師が共有しているか。「群れ」である生徒は、行事を通して「集団」に変わる。身体的な密ではなく、精神的な密を考えるべき。
大阪の私学(進学校)で、コロナ後の世界でいるもの・いらないもの、を討議させたところ、「いらない」の筆頭は教師だと生徒が言ったそうだ。
今こそ、教育の本質を議論すべきである。
2020年08月10日(月)|by カプス管理2
オンラインによる共同での教材研究についての報告があった。
遠方の研究仲間と「Google Jamboard」というサービスを使って共同で教材研究を実施。
「漁夫之利」や『羅生門』について、「教材で指導できること」「内容価値や技能価値」 等について、ウェブ上で付箋を貼りながら考えを深めていった。
「Google Jamboard」は無料で利用でき、教材研究だけでなく、オンライン授業でも活用できる可能性がある。
2020年08月10日(月)|by カプス管理2
コロナウイルス感染拡大防止のため、5月に続いてオンラインでの開催となった。
実践予定の教材についての、教材的価値、教材とし ての扱い方・問題点、複数テキストに適した文章等について、ア イデアを出し合った。
対象は高校1年生国語総合(現代文)。コロナで年間計画が見通せないが、2学期以降に取り上げたいと考えている。
《吉田秀和『ヘンデルと力士』について》
・普遍と個の往還が面白いと感じている。
・「アイネ・クライネ~」など音楽の素養がない生徒にとっては、何のことかわからないのではないか。
・曲を、教材を読む前に聞かせるのか、後で聞かせるのか?
・YouTube など、自分の興味があるジャンルしか見ないという生徒に、どうやって迫らせていくのか?
・社会的共有知、教養が失われて久しい現在だが、現代文の文章を通して、世界を広げてほしい
《多木浩二『消費されるスポーツ』について》
・テニスの「タイブレーク」など、メディアによって、面白くなるからスポーツのルールが変わる、という指摘が面白い。自分がやっている身近なスポーツが、消費の対象になっている、ということを考えさせたい。
○「消費」を考えるために
・『生き方GET Vol.4』より「巨額を稼ぎ出すハローキティの生態」を読ませる。
・まずは、消費に関するイメージを生徒が持てるように、生徒の生活実感のなかから引き出すようにしたい。
・「消費される」というタイトルが、「消費」に否定的な印象をもたせるが、現在において、もはや「消費」は否定的なものとして捉えられるのではなく、われわれは消費とともに生活している。
○身体論を考えるために
・・鷲田清一『普通を誰も教えてくれない』(東大過去問1999より)
・特に受験生であれば、現代文頻出テーマの身体論を合わせて教えたい。
○オリンピックとナショナリズムを考えるために
・阿部潔『スポーツとナショナリズム』、加藤周一『オリンコーラ万歳』(『JIN式入試現代評論の技法』より)
・スポーツとナショナリズム、時事的な東京オリンピックの問題を批判的に考えさせたい。
○現代のメディアとスポーツを考えるために
・・インターネットメディアとスポーツの関係を調べて考える。
・原文は1995年出版で、「テレビ」で終わっており、メディアの捉え方に古さがある(生徒はテレビを見ない)。
・歴史という観点から、インターネットの発達した現代、あなた達はどう捉える?というような、自分たちが具体例 をあげてみる発展的な課題を与える。
○会員からの意見
・スポーツイベントと置き換えていけば時代性の問題はクリア。
・「する、見る、支えるスポーツ」という、社会体育から社会スポーツへの流れを理解して授業をしたい。
・「eスポーツ」はヒントになる。(NHK『逆転人生』2020.6.8)
・スポーツと「消費(+メディア)」を中心に、これからどうあるべきかを考えさせて、書かせていきたい。
