例会報告

人権学習でカプス教材を使う(2月例会報告)

2020年03月20日(金)|by カプス管理2
人権学習の実践報告があった。

勤務校で、「障害者の問題を通して人権を考える」というテ ーマで、担任それぞれが独自の教材で授業をおこなうこととなった。

《テーマ》いのちのあり方について考える
《教材》島薗進『いのちを“つくって”もいいですか?』
《目標》
2013年より母体をほとんど傷つけることなくダウン症の子の出生前診断ができるようになっている。このような現実について考えることを通して、自身の価値観と向き合わせ、他者の意見にもふれながら、自己理解を深める。
《展開》
1時間目は、教材を読んで「あなたは「“いのち”を選ぶ」ことができるようになっている現実をどのように考えますか? 400字以内で答えなさい」に取り組む。
2時間目は生徒の回答を読み、回答についての考えを書いたり、意見交換・発表をしたりする。
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波風が立たないと帆船は走らない(2月例会報告)

2020年03月20日(金)|by カプス管理2
毎年恒例の京都での新年会。今年は鴨川沿い、京都市役所近くで開催された。新年会の後は、新型コロナウイルスの影響で観光客が少なくなった京都を散策した。

神戸国語教育研究会カプス代表世話人・松井仁さんが語った内容は、次の通り。

【栃木県の教育に異論反論オブジェクション】
日教組・全教でもない全日教連とは?
栃木県では、自民党系の組合である「全日教連」に教員の9割が所属しているという報道が。

【あいまいな定義づけは本質を見失う】
グローバリゼーション←→グローバル(グローバリズム)
多様性←→価値観
ボランティア←→奉仕作業
 「ボランティアが足りません」というのはおかしいのではないか。

【新天皇即位―現象あれこれ】
位式のあと、「万歳」が16回繰り返された。これをどう捉えるか。

【「転ばぬ先の杖」教育を見直す】
いまの教育現場は「転ばぬ先の杖」が多すぎる。「転んだあとの杖」が必要ではないか。教育を見直す必要がある。

【参考資料】
2019年10月6日朝日新聞編集委員・福島申二による「日曜に想う」に、富良野塾(倉本聰)の起草文が 引用されている。
 あなたは文明に麻痺していませんか
 石油と水はどっちが大事ですか
 車と足はどっちが大事ですか
       ・
       ・
       ・
 あなたは結局何のかの云いながら わが世の春を謳歌してませんか
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教科書教材と合わせた教材開発(2019年12月例会報告)

2019年12月31日(火)|by カプス管理2
評論『恐怖とは何か』、『戦争の〈不可能性〉』に合わせた教材について、意見共有をおこなった。

会員からの案は以下の通り。
・『みんなちがって、みんなダメ』など、教科書文脈とは異なる文章を読ませる。
・KP法で、文章を5枚程度のフリップにまとめて発表→展開の方法を押させる指導
・教科書評論の抽象的な内容に加えて、具体的な現実を読ませる。
  『職業は武装解除』など、現実に起きている事柄を読ませる。
・『恐怖とは何か』に水木しげる、『遠野物語』など
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新聞投書で意見表明(2019年12月例会報告)

2019年12月31日(火)|by カプス管理2
国語表現の新聞投書に関する実践報告があった。

【授業の実際】
1.新聞投書を読み、特徴をつかむ。10代の投書を読む。
2.テーマ、構想メモを書く(探究のテーマや、世の中、社会について「おかしいな」と感じていること)
3.下書きを書き、批評しあって推敲する。
4.推敲した原稿を「Google フォーム」で提出する。
5.メールで新聞社に投稿する。
6.成果
 ・社会問題に目を向けるきっかけとなる
 ・「世の中(で起きている問題)に対して意見を発信する」という経験となる
 ・外部評価(教員による評価とは異なる評価者)
  →90 人ほどの生徒が投稿し、6件が掲載(朝日新聞、読売新聞)
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今後のカプスの活動は? ――教材開発について――(2019年11月例会報告)

2019年12月31日(火)|by カプス管理2
『生き方GET BEST10』を読み直し、今後のカプスの活動を検討した。会員からの意見は以下の通り。

・文章自体は悪くないが、内容としての古さがあり、今の現場で使いにくいのではないか。
・教材選びという活動により、「現代」を切り取ることができる。国語教師として必要なこと。
・教材選び自体は楽しいこと。
・教材開発、教材選びができる環境はカプス以外ではなかなかない。
・「教材開発」というカプスが長年取り組んできた蓄積をもとに活動を進めていきたい。
・「教科書教材に加えて、他の複数の教材を使う」という指導は現場でも求められているが、そのスキルや経
験、時間がない。
・「教科書教材に合わせて読ませる」という発想で教材開発をしたらどうか。
 (『羅生門』と『ゼニの人間学』など)
・時間がかかってしまう出版の形は難しいのではないか。
・青木将幸著『ファシリテーションを学校に!』(ほんの森出版)のカプス掲載箇所に対するレスポンスを発
信する必要がある。
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『こころ』の実践(2019年10月例会報告)

2019年12月31日(火)|by カプス管理2
「こころ」の実践経過報告があった。

【目標】
1.一人称小説を読み解くことで、語り手を通してみた人物の心情を考えることができる。
2.自分たちで主体的に小説を読み解くことができる。(学習者ベース)
3.小説を読んで、問いを設定し、その答えを論述することができる。(探究ベース)

『こころ』の教材的価値とは何か? → なぜ、「いま」、「国語の時間で」、「こころ」を読むのか?
1.謎が多い作品を読むことで、一義的に定まらない解釈を考えることができる。
2.一人称の小説ならではの読み方ができる。(「語り手=私」の目を通してみた「K」の心情を考える)
3.作品をとおして、人の生き方についての考えを深めることができる。
4.小説の読み方を教えることができる。(象徴表現、情景描写、物語の展開、人物の心情)
5.長編小説を読むという経験(読書教育的な意味)
6.文豪の名作(古典)を読むという経験(教養的な意味)

【授業の展開】
内容読解(6時間) → 自分が考えたい問いを設定 → 小論文を書く

○毎回の授業スタイル
1人でプリントの問いを考える → 自由に歩いて相談・共有・チェック → ノート提出

○成果と課題
・一人ひとりの読みを確認しながら読解できる。(26人対象だからできること)
・相談、共有によって、誰もが読みを進められる。(「食いつき」はかなりよい)
・通読の難しさ

○会員からの意見
・授業中に読ませる工夫もある。
・読書指導は積み重ね。いきなり読むことはできない。
・生徒は共感する。心理を読み解く方法を教える上で、優れている作品である。
・小説でなければ考えられないことがある。
・内容読解は、もっと絞ってもよいのではないか。
・大きな問いを立て、ざっくり読解してから、細かい確認をしてもよいのではないか。
 →逆に、共通の土台を丁寧に確認して、それから探究的問いに向かうほうが、誰もが参加できる。
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『羅生門』の実践(2019年7月例会報告)

2019年12月31日(火)|by カプス管理2
『羅生門』の実践報告があった。

・対象 1年生40名
・ねらい 本文全体を再読して再構築させる
・展開 全6時間

授業の最後に、「下人の「ひとりごと」――引剥ぎをするにいたった心境」を500字で記述させたもの。高木・
大滝編著『アクティブ・ラーニングを取り入れた授業づくり』にとりあげられていた、神奈川県の高校での実
践を参考にしながらおこなった。

これまで、授業時間を長くかけていた「羅生門」の授業を、5時間+記述1時間で、テンポよく終わらせることができた。また、生徒は楽しそうに記述問題に取り組んでいた。さらに、記述の中には、生徒それぞれの「引剥ぎを行う動機」が描かれており、興味深い違いが見られた。

会員からは以下のような意見が出された。
・あらすじ、授業を聞いていたかどうかの確認として使える。
・何を教えるか、という設定、それに合わせた評価の観点の設定の仕方を考える。
・進学校の生徒に合った授業を考えること。
・基礎基本をおろそかにしないようにすること。
 「羅生門」には、小説の教え方がぎっしり詰まっている。それを教えることの優先度が高い。
・授業では、どの小説をよんでも使えるスキルを指導するべき
 →カプスの活動として、読解のポイントをまとめていきたい
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【松井仁さん 語る】得手に帆を揚げよ―1つのメッセージとして「あ」じゃなくて「お」(2019年6月例会報告)

2019年07月21日(日)|by カプス管理2
2月、京都にて「待て、而して希望せよ―プロレタリア文学再考から見えてくるもの」と題した「提起」をおこなった。「民主主義の反対はなにか?」という問いに答えられない、「ファシズム」「全体主義」と出てこない若者。「抗う」がテーゼだった時代に比べ、全部受け入れてしまう時代。何よりも望まれるのは「夢と凛と情」をあわせもつリーダーの輩出である。(「「あ」じゃなくて「お」」は「わたし遺産」大賞作品より)

1. 元号が変わったから新時代が来る―!?
三島由紀夫は割腹4日前、これからの日本は「無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色」だと言った。実際その通りになっている。おまかせ民主主義、他人事。藤澤令夫(ギリシア哲学)が「イデアと世界」で述べた「軽信」「軽操感」である。

2.「令和」の英訳から見えるもの
「和」とは「同調圧力」「同調性」である。「和而不同」ならよいが、そうではない。品川悦一『万葉集の発明―国民国家と文化装置としての古典』は従来の説を洗い直した力作である。万葉集がいかに「国民の詩歌=国詩」となったのか。文化的装置、ナショナル・アイデンティティの拠り所としての万葉集を論じている。万葉集はこの文脈から読むべきであろう。

3.「イチロー選手のあり方」その凄さは何か
イチロー選手の凄さは、日本固有のありかたを、特殊性に閉じさせるのではなく、普遍化したところである。内野ゴロをヒットにするという新しい野球の姿を提示したのである。

4.教育をめぐる情勢について問わず語り
  • 中高生に木の高さをどうやって測るのか(新井紀子の話から)
いまの中高生は、問題を自分の問題として受け止められない。必要なのは処世術ではなく、処「生」術である。「生きる力」(文科省)ではなく「生きるちから」(70 年代の民間教育運動)である。AI によって、人間がAI 化していることが問題である。
  • いわゆる「PDCA」の愚
「PDCA」は 70 年代ごろから使われた語。結果、上意下達、前例踏襲だけが残った。言葉はその背景を押さえないといけない。
  • 主体的・対話的で深い学び」「共通テスト」
これからどうなるのか。一度疑ってほしい。

5.「学校なしに、子どもを街中に放り出しておいては、身につかないもの」とは何か
マスコミや国家に左右されず、自立した判断をする能力であり、技術革新の激しい時代を生き抜いていく職業人としての素質である。前者は思想信条の自由・良心の自由を守るため、後者は職業選択の自由につながるものである。教育とは「選択」が見えるかどうか、生徒が何かをチョイスできるかどうか、である。

6.谷崎潤一郎の「ルネサンス」―なぜ「細雪」は発禁処分となったのか
谷崎は関西を舞台に、ルネサンスの実験を行った。『細雪』は軍国主義が不在であることによって発禁になった。谷崎は『源氏物語』を現代語訳したが、『源氏』のエッセンスは「人の心や自然の風物の日に接することによってそぞろに催される、深くしみじみとした感動」である。

7.結成 22 周年の「カプス」の現状と展望について
今後は、「先達」が授業を見せることが必要ではないか。教材(羅生門、水の東西)をとりあえげる現代的な意義とはなにか。問題意識を生徒に持たせないといけない。生徒の中に「矛盾」を巻き起こしてほしい。
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早く、正確に読む授業の実践(2019年5月例会報告)

2019年07月21日(日)|by カプス管理2
今回は、高校1年生を対象にした『水の東西』の授業報告があった。
2時間で授業を終える、という課題を自らに課し、授業を行った。


【1時間目】
〈授業の流れ〉
1.説明
2.2分で黙読
3.200 字要約
〈板書の説明〉
・授業で身につけること「初見の文章を、早く、正確に読む力をつける」
・評論の要約の仕方
・評価の観点

【2時間目】
〈授業の流れ〉
1.ペアで音読
2.前回のノートに記した評価規準をもとに、配付した4本の要約を評価する。

【会員からの意見】
1.キーワードやキーセンテンスの見つけ方はどのように指導するか。
〈キーワードの見つけ方〉
  タイトル、カギカッコ、二項対立、繰り返される言葉に注目する
2.線引きをさせながら読ませる意義は何か。
   線引きは、読めない生徒にとっては、文章の整理をするためのきっかけとなる。
   読める生徒によっては、文章の読み方を意識化するためのきっかけとなる。
3.(進学校では)読み方を決めつけて指導するのではなく、ある程度の幅をもたせて指導したほうがよい。
4.まずは「早く読む」ための指導を行う。(高3で分速 2000 字、高 1 で分速 1500 字、が目標)
 
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年間指導計画から今年度を振り返る(2019年3月例会)

2019年04月14日(日)|by カプス管理2
明日から新年度を迎える今日の例会は、実践者たちが今年度の指導計画を持ち寄り、会員と共に一年間を振り返った。
【第一学年 国語総合(現代文)】
教科書教材の評論や小説を主として用いた。文章の構成や論理の展開、小説の設定、構造などの基本事項をおさえ、主張や主題に迫る授業を展開してきた。また、教科書会社から配布される「学習課題ノート」を活用したり、100字要約に取り組ませたりして学力向上を図った。

これについて、会員から以下のような指摘があった。
・年間を通して生徒はどのような力をつけて欲しいかを設定されているのか。
・そのために、一時間の指導事項(言語技術)を明確にする。
・自身のノートが参考書となるような授業づくりを心がけること。例えば。要約を書かせたとき、生徒同士で相互評価をさせる。生徒たちはノートをもとに、評価し合うことが可能となる。

会員の意見を踏まえて、授業担当者は「何のためにその学習活動をするのかを問う必要がある。そこを詰めずに形骸化した学習活動があることにも気が付いた。次年度は明確な目的・目標を教科担当間で共有していくことから始める。」と反省した。新天地での授業改善に期待したい。
【第二学年 国語総合】

前年度の生徒達は、「答え(主張)の論拠は?」と尋ねると「なんとなく」と返答しており、そこに問題意識を感じていた。そこで、年間を通して「主張と論拠」を問うことを意識して指導計画を立てた。結果、年度末には「なんとなく」と答える生徒はほぼいなくなり、論拠を探すことでじっくりと本文と対話する姿も見られるようになった。また、カプス会員が実践したテーマや教材、「セメント樽の中の手紙」なども授業で扱い、教科書教材以外の教材発掘にも取り組んだ。

会員からは、
・問題意識を持つことは重要だが、それが生徒に身につけさせなければならない内容なのか、吟味しなければならない。
・次年度はどのような問題意識を持って計画を立てるのか。
・「書く」ことができない人が多い。文章をきちんと「書く」ことができるようになる学習活動は考えているのか。

という指摘があった。卒業すれば大半の生徒が就職する夜間定時制高校で、生徒たちに何を身につけさせなければならないのか。どんな教材が必要なのか。今一度吟味する必要があるだろう。

これらの先達からの助言を活かしつつ、自校の生徒のために邁進していかなければならない。
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