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【授業報告】川上弘美「神様」「神様2011」(2022年3月例会)

2022年04月17日(日)|by カプス管理2
 教科書教材の川上弘美「神様 2011」。合わせ読みとして「神様」を使った。

 ICT を使いな がら「質問づくり」によって授業をおこなった。コロナ禍という非日常をリアルタイムで経験している生徒から は、原発事故のあった 2011年と 2020、2021 年を重ね合わせる感想も出た。

  質問づくりは「Google Jamboard」というオンライン上のサービスを利用。グループで問いの共有、精選をしながら作品の本質へと迫った。読解の共有は「Slido」という意見集約のサービスを利用。大人数でも意見交換ができることがメリットである。また相互評価にも使える。これによって「くま」が登場する効果を話し合った。

 最後に作品に描かれている同時代のメタファーとして、『ゴジラ』(本多猪四郎、1954 年)および『シン・ゴジラ』(庵野秀明、2016 年)を提示。水爆実験や 3.11(津波、原発)といった同時代の出来事と作品(映画)とのつながりを解説した。

 会員からは、ICTを用いた授業手法についての意見が出た。
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【教材検討】村上陽一郎「科学・技術の歴史の中での社会」(2022年2月例会)

2022年03月21日(月)|by カプス管理2
 実践予定教材は、村上陽一郎「科学・技術の歴史の中での社会」。高校2年生対象に、「科学が社会に貢献する」ことへの疑問をもたせたいという思いを持っている。

 この教材の前に評論の岩井克人「未来世代への責任」を扱っており、それとのつながりも持たせたい。

《会員からの意見》
  • まずは、評論がそのままでは読めない生徒に補助的な教材が必要。 →「科学」と「一般社会」との間の「強い絆」の具体例など
  • 評論の読解としては、「道具」をどう捉えるかが重要。
  • STS(科学技術社会論)として、コロナ・感染症の専門家が科学と社会の関わりとしてイメージしやすい。
  • 科学者の成り立ちから考えさせるのも一つの方法である。
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【実践報告】港千尋「擬似群衆の時代」(2022年2月例会)

2022年03月21日(月)|by カプス管理2
 実践教材は港千尋「疑似群衆の時代」。本文読解のあと、ベルリ の壁の説明文や、本文出典が書かれた頃の2011年の新聞記事、反原発デモの記事などを提示し、課題として「実際の芸術や政治の場面における「待つ群衆」の事例」を話し合わせた。

 実践前はこの課題についての生徒の反応が心配されたが、さまざまな補助的な材料を提示したこともあり、生徒は米大統領選挙やBLM運動を事例として挙げて話し合うことができていた。

会員からは、#MeToo、検察庁法改正問題、森喜朗問題などのSNSの「トレンド」に見られるような動き(「ハッシュタグデモ」等)が事例としてイメ ージしやすいのではないかという意見が出た。
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【授業実践案】「神様 2011」に向けて

2021年12月31日(金)|by カプス管理2
 勝部の実践予定教材は川上弘美「神様 2011」。3.11 のあとにデビュー作「神様」を改作して発表した作品である。もはや3.11をリアルに感じられない世代である生徒にどのように提示するか、コロナ禍を経験した「神様 2021」はありうるか、などを考えている。

【会員からの意見】
  • 「神様 2011」と「神様」の違いの中に書かれているものを探る。
  • 今の生徒にとっては日常が日常ではなくなったこと(非日常の日常)は感覚としてわかるのではないか。
  • 目に見えないことの怖さという点でコロナとの共通がある。
  • 3.11 のイメージを持っていない生徒には説明が必要。
  • なぜ「くま」が主人公なのか?(「なめとこ山の熊」の影響か

合わせ読み教材の提案
多和田葉子「動物たちのバベル」(講談社文庫『献灯使』より)
 ……大きな洪水が起こった後、人類がいなくなった状況の下で、イヌやネコの他に、リスやウサギ、クマや キツネが議論を行っており、やがて、バベルの塔を建設するという計画が持ち上がる。

【会員からの意見】
  • この文章を読んで話す、聞く、は難しいが、寸劇や朗読で内容に迫ることはできるかもしれない。
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【授業実践案】「擬似群衆の時代」に向けて(2021年11月例会)

2021年12月31日(金)|by カプス管理2
 実践予定教材は港千尋「疑似群衆の時代」(出典の出版は2010 年)である。実際の芸術や政治の場面における「待つ群衆」の事例を、生徒は考えられるのかという疑問が提示された。

【会員からの意見】
  • 「消費されるスポーツ」、スポーツとオリンピックの問題との共通点について
  • ネット上の動きを考えると、いまの生徒にはリアリティがあるのではないか。(ハッシュタグデモなど
  • 「待つこと」の意義について →ここでの「待機する」はポジティブではなく、待機することを余儀なくされているという意味である
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【情報交換】新カリ「現代の国語」「言語文化」教科書について(2021年10月例会)

2021年12月12日(日)|by カプス管理2
 様々な意味で話題となっている新教科書。各社の教科書見本が揃い、各校では新入生が使う教科書の選定を終えた。
 各社の教科書について簡単に紹介。新カリに忠実な編集をしているものもあれば、逆に「国語総合」とあまり変わらないものも。また探究を押し出しているものもある。
 各社のホームページに編集方針や目次が掲載されているため、確認されたい。
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【実践報告】「いのち」を「問う」(2021年10月例会)

2021年12月12日(日)|by カプス管理2
 日本国語教育学会『月刊国語教育研究』(10月号)に掲載された実践報告論文「多様な評価方法を組み合わせた探究へのステップー複数のテキストをもとに「いのち」を「問う」」について。
 もともとは学会の 全国大会での発表を予定していたもののコロナで中止に。実践報告欄に投稿し、査読を経て掲載された。 根拠立てて自分の意見を書くこと、「問い立て」や探究、複数資料の読解、などに焦点を当て、安楽死やQOL をめぐる生命倫理をテーマにした単元である。
 平成30年度「国語総合」の実践ではあるが、新カリのポイントを踏まえながら、評価を工夫して授業を組んだ。
 会員からは批評文の交流・共有について意見が出た。
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【実践報告】「インドへの旅」カプスの原点とは?(2021年10月例会)

2021年12月12日(日)|by カプス管理2
 吉田ルイ子「インドへの旅」〔『高校生のための批評入門』(ちくま学芸文庫)所収〕。カプスでこそ開発できる教材、生徒の価値観を揺さぶるもの、社会構造への視線をのばすもの。それらを求めて実践した。

 小説「檸檬」のあと、担任のクラスで1時間の授業。範読の後、説明や発問をしながら読みを深めて、筆者の 批評性に迫る。「臭い」と「匂い」の対比を読み解き、「日本から持ち込んだ毒薬」は「人間本来の身体性を覆い隠している文明」であることに至った。

 生徒からは「サイコーの教材」「自分の視野を広げることのできる良い教材」という声のほか「生きることを問われる1時間だった」という感想もあった。

《会員からの意見》
  • ・生徒から上記のような言葉が出てきているのは収穫。
  • 黙読か範読か、教材や授業場面で使い分けを。
  • 指導者の狙い通り、思う方向に連れていきたい、という思いの強さについて。 →オープンエンドで「ともに考える」という姿勢(探究ベース)
  • 本教材では 60~70年代の「インドブーム」における日本人のあり方に踏み込めていない。
  • 「ぼくは、本当にいいことしたのだろうか」に焦点化させたい。
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【実践報告】スピーチと新聞ワークシートの連動(2021年9月例会)

2021年12月12日(日)|by カプス管理2
 担任クラスでの終礼時のスピーチと、「読売新聞ワークシート通信」を用いた実践。

 東京五輪開催の是非や日本のコロナ対策といった賛否の分かれるタイムリーな話題を用いて、社会情勢に興味を持って学び続け、自分の意見を表現することなどをねらいとして実施した。
 同調圧力が強い社会で、学校の教員も「炎上する」「たたかれる」ことを避けている。特に政治的な話題に触れることは難しく、教師の覚悟が必要になってくる。しかしカプスが長年取り組んできた、生徒の価値観を揺さぶる問いや賛否が分かれる問いに向き合うことが、「思考・判断」である。
 生徒の発表や記述は賛成・反対が拮抗する 結果となり、「社会への怒り」を表現する場面も見られた。他者や教員の意見を受け入れながら自分の意見を深めていく取り組みとなった。

《会員からの意見》
  • 学校全体の取り組みになることを期待。
  • スピーチの有用性について
  • 職場の「朝の一言」で世代間のギャップを埋める取り組み。
  • 1時間で300 字の原稿を作成して実施する「1分間スピーチ」は、生徒間の交流が進むものになった。
  • 新聞を扱った授業では新聞社の政治的な立ち位置への配慮が必要。
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【情報交換】観点別評価の実施に向けて(2021年9月例会)

2021年12月12日(日)|by カプス管理2
 いよいよ来年度4月の新入生から実施となる新学習指導要領。高校では指導要録に、従来からの評定(5段階評価)とは別に観点別学習状況(ABC評価)を記載する欄が設置される。会員が、校内の教科会で共有した資料を中心に話題提供をおこなった。

 定期考査を観点別に集計する、ノート評価の在り方を変えるなどの対応が必要であ る。なお、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の比率は未定。

《会員からの意見 》
  • いまの文科省のやり方には疑問。全部鵜呑みにしてそのままやる必要はないのではないか。
  • 目の前の生徒にとっていいところがあるから観点別評価をする、という発想が必要。
  • 要録への自動振り分け、デジタル採点などで業務負担を図る。
  • 学校や教員によっては不適切な評価の付け方をしている。変わるきっかけになればいいのではないか。
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