オススメの本の紹介

会員のオススメの本

2017年08月28日(月)|by ホームページ管理
石川一郎『2020年からの教師問題』(ベスト新書) 
『2020年の大学入試問題』(講談社現代新書)の著者として、教育界に一石を投じた石川一郎氏。今度は、教師に向けての新書。
 
見出しを列挙するだけでもなかなか刺激的だ。「教師は『指導者』ではない」「指導者になりたがってはいけない」「生徒のゴールは学校生活にはない」「理想の教師像は『プロデューサー』」「変化を拒む教師たち」などなど。
 
つまり、大学入試改革、高大接続といった2020年問題に、教師が対応できるかを問うているのだ。
 
教育の制度が大きく変わる。すなわち、それは教師自身の変革も求められている。
 
とかく教師は保守的だ。今までやってきたことに対してプライドを持っている。また、うまくやってきただけに、失敗するリスクを考えてしまうと変えることは怖い。また、長年教師をやっていると、教科指導にも生徒指導にも、自分なりのパターンとか型というのができあがっていて、それを変えるのはめんどうだ、という心理もある。
 
けれど、変えないといけない。
 
著者は、管理職として教育改革の先導をしてきた。
 
ありがたいことに、直接お話を伺う機会に恵まれた。ご自身も、改革といっても性急に求めたわけではないという。できるところから、ちょっとずつ変えていきませんか、というスタンス。教師ほど承認欲求の強い人種はない。だから、プライドも尊重しつつ、でも、改革していかないといけない。そういう思いで、この本を執筆したという。
 
現場の先生はもちろんだが、ぜひ、管理職の立場にある先生によんでほしい。


 

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会員のオススメの本

2017年08月22日(火)|by ホームページ管理
白岩玄『ヒーロー!』河出書房新社

いじめとか不登校とか、学校からなくなった方が良い。それが理想だし、教師はそれを追求しないといけない。けれど、実際に、いじめはどこの現場でもいつでも起こりえるし、不登校の生徒は一定数発生してしまう。

教師は、いじめている生徒やいじめられている生徒、不登校の生徒にどれだけ共感できるだろうか。

ほとんどの教師が優秀な学生として過ごしてきただろうから、悪いことをしたり、つまずいたりする経験に乏しい。だから、そういう生徒の気持ちがなかなか理解できない。

東大とか京大を卒業した教師が、教科指導で優秀かというと、そうでないことも少なからずある。「わからない」と思っている生徒に対して、どこがわからないのか、わからないのだ。自分は学生時代につまずかなかったから。

この『ヒーロー!』という話で、主人公は大仏のマスクをかぶって休み時間にショーをする。目的は、自分が注目されれば、休み時間にいじめているヒマがなくなるだろう、という発想。なんとも奇抜だが、それがうまく進む。もちろん、順風満帆ではなく妨害もある。

「正義」とはなんなのか、「理想」とはどうすれば求められるのか、教師も生徒も読めば考えさせられる一冊。

学校のいじめをなくすため、大仏のマスクをかぶり、休み時間ごとに、パフォーマンスショーをする新島英雄とその演出担当の佐古鈴。二人のアイデアは一見、成功するかに見え...
販売価格: 1,540 円 ( 更新)
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会員のオススメの本

2011年11月12日(土)|by HP管理

保健体育を教えていた私を国語の教師へと背中を押してくれたのが『愛、深き淵より。』筆をくわえて綴った生命の記録 星野富弘著(立風書房)です。

大学卒業後、私学の通信制高校で保健体育教師として5年間勤務しました。その後、常に生徒と関わりたいため退職し、全日制で講師と勤務した後、正式に採用され保健体育教師として勤務していました。しかし、32歳の時、保健体育教師を続けたるために亡くなった方の冷凍に保存された靱帯をいただき、前十時靱帯再建術をしました。ところが、手術した夜、主治医から膝の状態が悪いため体育教師を続けることが難しいと言われました。

現実を素直に受け入れられなかった私に、現実を素直に受け入れ、今できることを前向きに取り組むように背中を押してくれたのがこの本です。この本は、体育教師をしていた作者が学校の授業で体操の模範演技をやっていた時、 誤って首から落ち、肩から下が麻痺してしまった。色々な心の葛藤を経て作者が選んだのは、ただ一つ動かせる口に筆をくわえ絵と詩を描くことだった。この凄まじい生き様に教えられ、既に取得していた書道免許の単位を生かし、国語の免許を通信で取得し、39歳の時に、多くの人に支えていただき、国語教師への道を進ませていただくことになりました。


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会員オススメの本

2011年11月12日(土)|by HP管理
『きけ わだつみのこえ』岩波文庫

この本は第2次世界大戦中、学業半ばで戦争にかり出された学生の遺書であり、手紙であり、日記です。彼らは将来の夢を語り、死ぬ前日には家族を思い、精一杯の思いを伝えています。しかし、その文章に愚痴はなく、相手を思いやる言葉で溢れています。

彼らはすばらしい英知を持ち、するどい洞察力でこの戦争のむなしさを感じています。また、日本が負けることは正義が勝つ事だとも言っています。彼らはとてもよくわかっていて、でもどうすることもできず、特攻隊となり戦争に巻き込まれ死んでいった人もいます。日本はなんと大きな財産をなくしたのか、と思います。

本文より引用~ 「父母上様、去る六日の原子爆弾は非常に威力のあるものでした。自分はそのために顔面、背中、左腕を火傷致しました。しかし軍医殿を始め看護婦さん、友人たちの心よりなる手厚い看護の中に最期を遂げる自分はこの上もない幸福であります。」

これは「鈴木実」さんの遺言状の最後の部分です。彼は東大法学部の学生で、二十歳で亡くなります。この本は読み出すと、心に大きな固まりができて苦しくなります。「この上もない幸福です」と語る言葉の裏に、言葉にしていない彼らの悔しさや切なさがどうしても胸を突きます。戦争は一人一人の人間の顔が見えず、命が簡単に失われます。しかし、この本を読むとき、一人一人にドラマがあり、そんな簡単に失われていい命など1つもないと感じます。生きるということを真剣に考える本です。


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カプス会員がオススメする本

2011年11月12日(土)|by HP管理
『せんせい。』 重松清 新潮文庫

虐待によって里子を殺害した容疑で、里親が逮捕された記事が新聞に載った。里親としての思いが、殺害という結果に変わってしまった事実に、どんよりと重いものを抱え込んだ気分になる。

翌日の記事には、「うちだって、虐待ケースになったかも。」と、男の子を三歳前から里子として育てて10年になる男性が、次のように語っている。「最初は、愛情を注いでかわいがればいいと思っていた。家に来て早々テーブルの上の7、8個のみかんがなくなり、口を開けさせてみると、皮ごと食べている。皮をむいて食べることを教え、5㎏入りの箱を買うと、3日で食べ尽くした。それから、毎週みかん10㎏を半年間食べ続けた。気に入らないことがあるとキーキー高い声を出し、てこでも動かなくなる・・・」といった里子の「試し行動」の経験である。

自らの経験を踏まえて、多くの人は教育に一家言を持っているが、実は一歩踏み込むと人間は十人十色だ。学校教育は、そんな多種多様な子どもに教師が一人で向き合う場である。簡単にいかなくて当然なのだ。いかにベテランの教師でも、心の中を掘り返せば、うまくいかなかった無数の経験が、後悔や煩悶の苦みとともに立ち上がってくるだろう。

さて、『せんせい。』である。この小説は、そんな苦い経験を丸ごと包んでくれる。教師と生徒とのやりとり全てをいとおしく感じさせる、包容力のある小説である。

先生、あのときは、すみませんでしたー。授業そっちのけで夢を追いかけた先生。一人の生徒を好きになれなかった先生。厳しくすることでしか教え子に向き合えなかった先生。...
販売価格: 572 円 ( 更新)
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『世界最悪の紛争「コンゴ」 -平和以外になんでもある国-』 米川正子 創成社

「ルムンバの叫び」という映画がある。コンゴ初代首相ルムンバが暗殺されるまでの半生を描いた映画である。その映画は冒頭から不穏な雰囲気で始まる。暗闇。無人の林。欧米人が二人、何かを引きずっている。人の足のように見える。と思うと、次のシーンではドラム缶に火を点けて焼いてしまう。実はそれが暗殺されたルムンバだというのがラストで分かるのだが、この映画では、そのルムンバ暗殺までの過程を丁寧に追う構成になっている。

まるで袋小路に向かうような構成で、暗澹とした気持ちにさせられるのだが、『世界最悪の紛争「コンゴ」-平和以外になんでもある国-』では、破滅に向かう構造が論理的に説明されているだけに、余韻の重さは比べようもない。

自国に目を向けるばかりではなく、地球の裏側では何が起こっているのか、関心を持つのが我々の責務だとはいっても、この惨状を知れば知るほど、いわば構造的に平和が構築されない条件が揃っている状況に、呆然と立ち竦んでしまう。虐殺・貧困・周辺での紛争・天然資源の搾取・汚職・欧米との関係・エボラ出血熱の流行・地震・・・。

もちろん、簡単に解決策が見つかることではない。だから、一人でも多くの人に知ってもらうことが始まりだと思う。同じ地球に生まれて、同じ人間として生きることの、あまりの違いを直視することは、人間としての責務である。



「黄色い目の魚」 佐藤多佳子 新潮文庫

人が自分らしく生きるのって、何て難しいんだろう。

ストレートで、自分の気持ちに正直すぎて、周りの人とうまくいかない村田みのりと、自分の中にある絵の才能をどう扱っていいのかわからなくて、不器用に生きる木島悟。誤魔化せない自分らしさを持てあまして、ぶつかり、つまずき、立ち止まりながら生きる二人の姿は、読み進めば進むほど、他人事に思えなくなってくる。自分はどうなんだろう。自分は、自分の嫌なところや、弱いところ、好きなところに、ほんとにちゃんと向き合っているんだろうかと思えてくる。

「一瞬の風になれ」でブレイクした作者が、それよりもずっと昔、大学生だった頃に書いた「黄色い目の魚」という短編。それが、十年を経るうちに、作者の中で少しずつ登場人物が動き始め、長編に変わっていったのがこの作品の成立過程ということらしい。だから、短編だった頃の前半部分と、長編化していく後半部分とでは文体に違いがある。けれど、作者は敢えて直していない。登場人物が苦しみ、生傷を負いながら成長していくさまを、作者自身が童話作家から小説家へと変身していく過程をガラス張りにすることによって、身をもって描いたのである。



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カプス会員がオススメする本

2011年11月12日(土)|by HP管理
森達也『誰が誰に何を言ってるの』大和書房

街にある「注意看板」「メッセージポスター」などに潜む、考えると何かおかしな前提条件を鋭い切り口で論破していく。表現者としてのもののとらえ方・見方が非常に刺激的。

例えば、銀行の入り口で「特別警戒中」という文言の看板や張り紙を見たことはないだろうか?文字通り理解すれば、銀行が何かの業務妨害等から身を守るために日常以上の特別な警戒をしているということになる。また、この「特別警戒中」は365日続いていないだろうか?はたして、この「特別警戒」は何から身を守る「特別な」警戒なのだろうか?

こんな例もある。「警戒監視中」と張り紙のある公衆観光案内所。誰が誰を監視しているのか?単なる観光目的で訪れたのに監視されているというのは不気味なことではないか?

この本を読み進めていくと、普段あまり注意を払っていなかった街角の文言が気になること間違いなし。社会をこんな風に観察すると、色々な不思議を感じるだろう。

好評につき売切れです


堤未果『社会の真実の見つけかた』岩波ジュニア新書

アメリカにおける政治、経済、教育の現状についてのメディアからの情報を事例として取り上げ、どのようにとらえるかという視点で紹介している。隠される真実、表面的な目的の裏にある本当の目的など、どのようにメディアの情報を整理し、また自らが考えて情報をとらえていくかを考えさせてくれる本。

昨今は特に生命に関わるレベルの情報でさえも、不正確な情報があふれている。新聞で、テレビで、ネットで書かれたり言われていることが、本当に正しいのか?疑い始めると寒々とするが、自分自身が情報発信する立場に立った時に、こうあってはならないと考えさせられる内容でもある。

日常にあふれかえっている情報への疑心暗鬼で止まらず、主体的な情報リテラシーを身に着ける必要性を強く感じて、その意識を持つことがないより大事だと感じさせてくれる。


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カプス会員が薦める本

2011年11月08日(火)|by HP管理
☆村上春樹『沈黙』(『レキシントンの幽霊』 文春文庫)

ボクシングジムに通う青年が、中高一貫の進学校で過ごした日々を回想する。青木という勉強もでき、周りの同級生からも人望のある同級生から、彼は敵対心を持たれてしまう。そして、ある日殴ってしまい…。

計 算高く要領よく生きることに違和感を感じる人はぜひ一読を。「ある種の人間には深みというものが決定的に欠如しているのです。…僕が言いたいのは、その深 みというものの存在を理解する能力があるかないかということです。でも彼らにはそれさえもないのです。それは空しい平板な人生です。」

ある教室で集団読書として読ませたら、半数以上が読んでよかったと答えたという。生きることについて、ちょっとだけ深く考えられたらと思う。



☆宮本輝『星々の悲しみ』(文春文庫)

夭折の画家が描いた「星々の悲しみ」(大きな木の下で男の子が 眠っている)という題の絵を喫茶店の壁から、いたずらで盗み出す浪人生たちの物語。「死」も一つのテーマにしながらも、重さはなく、透明感のある爽やかな感じが漂い、やさしい余韻が静かに残る作品です。主人公や友人たちの人物像がうまく描写出来ていて、劇的な事件や出来事はそれほどないのに、なぜか引き込 まれていきます。表紙のスケッチも佐藤忠良が描いていてファンも多い。昔は、教科書や模試にも使われました。

喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋ー。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きること...
販売価格: 660 円 ( 更新)
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☆関口尚『水の中から見た月』(『そのままの光』光文社)

高校で野球部に入った僕は3年生のしごきに耐える日々だった。そして夏あけに、中学では有名だったピッチャー香取が入部してくる。その二人がさまざまなことを通して友情を深めていく物語。

好評につき売切れです


☆吉田修一『Water』(『最後の息子』文春文庫)

長崎の高校水泳部員たちをさわやかに描いた小説。主人公の凌雲は高校水泳部のキャプテン。登場人物が、それぞれに自分の心 に何かを背負って生きてい る。しかし、それを隠しながら物語は高校最後の県大会へと向かっていく。「…とにかく今日が最後だ。キャプテン最後の日であり、水泳部最後の日だ。ボクが 全力でやってきたことが大切なことだったのか、それともそうじゃなかったのかは、たぶん、今日泳ぎ終わったときにはっきりするような気がする。そして、一 年後、五年後、そして十年後に、今日のことがどれほど大切なことだったのか、分かるような気がする。たぶん、これからのボクの人生は、何を持って行くかで 決まるのだと思う。」物語のラストは4×100mメドレーリレーのシーン。結果は?読んでのお楽しみ。できれば、最後の総体の前に読んでみてください。

新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文...
販売価格: 627 円 ( 更新)
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